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エディソン  ホームB

所蔵蓄音機 : エディソン ホームB(米国)

1903年製造ロウ管型蓄音機『エディソン・ホームB』です。エディソンが最初に作った蓄音機は ”音を記録する” という目的で作られ『トーキングマシーン』といわれました。これ1台で録音と再生の両方が出来、やわらかい筒型のレコード=蝋管に縦振動方式で音溝を刻みました。この機械は『ホーム』という名前が付けられていますが、1900年当時一日働いて1ドルの収入が得られた時に20ドルで購入できた蓄音機です。一般の家庭に普及させる為おおよそ1か月の給料で購入できる価格設定をしたと言われています。録音時には大きなラッパに付け替えて音源にセットし、ラッパに向かって”音を吹き込む”という動作で空気振動である音をラッパに集め、その先にある振動板を振動させ振動板についている針を、回転しているレコードに接触させて音溝を彫って録音をしました。出来上がったレコードに、サウンドボックスの針を接触させ音溝をトレースさせる事で、針からの振動が振動板に伝わり空気を振らして音になります。その振動をラッパに伝えて空気の振動面積を増やし大きな音を出しました。

 

トーマス・エディソン(当時30歳)がひらめきをラフスケッチに書いて弟子に渡し、制作された手回し試作機で1877年12月6日 「音の録音と再生」に成功したといわれています。その構造からロウ管型レコードの複製は難しかった様です(都度録音してレコードを生産)。更に性能にこだわったエディソンはマシーンの性能に注力し、売れるコンテンツ(レコード)をあまりリリースしなかったようです。一方エディソンのライバル ベルリナーの開発しました横振動型円盤レコードは音楽を聴く目的で作られ、売れる歌手のレコードをたくさんプレスして生産をした事で機械もレコードもたくさん売れました。エジソンも縦振動方式の円盤レコードをリリースしましたが、コンテンツの問題と、縦振動方式であったため、レコード盤の反りで音飛びしない様に分厚く重いレコード盤にする必要があり、結果的に敬遠されてしまいました。まさにコンテンツ(ソフト)とハード(機械)がそろわないと、商売繁盛しないという事がこの時代に証明されたんですね。

レコードを回転させる動力源は”ゼンマイ”です。

ゼンマイの反発力が一度に開放してしまわないように、ガバーナという回転安定器が搭載されています。

ゼンマイの反発力を減速ギヤとガバーナで安定させ、ベルトを介して回転をメカ上部に伝えレコードを回転させると同時に、アーム部(ダイヤモンド針の付いたサウンドボックスとラッパ部分)をレコードの溝のピッチと同じ間隔で右側に移動していくリニアトラッキングメカを完成させています。

西暦1903年に、こんなに精密で複雑なメカを作り上げていたんですね。

 

TEXT:M_Ichihashi