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ビクトローラ 1-90

所蔵蓄音機 : ビクター ビクトローラVV1-90

創業者 松下秀雄(旧姓 田辺)が幼少の頃、実兄が東京銀座の十字屋で購入した蓄音機とSPレコードで出会った洋楽が人生を変えたという話を生前にしていました。

そして、このビクター・オルソフォニック・ビクトローラVV1-90という蓄音機ですが、創業者が戦争で入隊し休暇で実家に戻った時聴きたかった洋楽(クラッシック)を聴くため親に買ってもらったというモデルだそうです。米国で1927年頃に製造された音質評価の高い卓上型蓄音機です。このクラスではそのほとんどがストレートホーンでしたが本機は折り曲げ式ホーンを内蔵していてクラスを超えた再生音を実現しています。大学卒の初任給が70円だったころ1台295円(米国製)もしたそうです。当時、堂々と洋楽を聴く事は許されない時代。蔵の中にこもってこの蓄音機で聴いた洋楽(クラッシック)が、辛かった軍隊生活で大きな心の支えになったという事でした。もし創業者が武生の地でこの蓄音機と西洋音楽に出会っていなかったら・・・そして、このVV1-90が存在していなかったらオーディオテクニカという会社は誕生していなかったかもしれません。

創業者が幼い頃と、軍隊の休暇で帰ってきた時にこの1-90で聴いたというSPレコードは 

 ・ハイフェッツが弾くサラサーテのツゴイネルワイゼン

 ・ジンバリストのオリエンタル

 ・リムスキー・コルサコフの組曲ジェラードOP35

 ・ベートーベンの第七交響曲ニ長調

 ・弦四重奏第14番

 ・ピアノ3重奏『大公』

 ・ショパン『バラード集』

 ・シューベルト弦楽四重奏『死と乙女』冬の旅

だったそうです。私たちが作りますオーディオのルーツと創業者の想いがここにあります。

そして「音楽には感動があります」

これからもこの蓄音機を大切に保管し次の世代へつなげていきます。

TEXT:M_Ichihashi